中さんの平塚時代(大正末から昭和の初期)の豊かな自然が残る平塚八景について、逐次ご案内させて頂きます。
 
平塚八景とは、市制施行50周年を記念して市民の推薦のもと制定された、平塚の代表的な8つの景色・景観を云います。  以下の8つのポイントとなります。
 
①金目川と観音堂
金目観音堂は、坂東第七番札所として有名です。 前を流れる金目川の堤は、春になると満開の桜でいっぱいになります。
 
②七国峠・遠藤原
七国峠は七国が一望できたことが名の由来と云われています。 遠藤原の雄大な山なみ、季節の花がハイカーを迎えます。
 
③霧降りの滝・松岩寺
重なりあった岩から水が霧のように流れ散る霧降りの滝。 松岩寺では江ノ島、三浦半島を眺望する景観が開けます。
 
④湘南平
湘南の海岸線と丹沢連峰から富士山や箱根・伊豆の山々まで見渡せる眺望の名所。 美しい夜景も楽しめます。
 
⑤森の前鳥神社
平安時代の「延喜式」神名帳にも載る古社。 桜やけやきの大樹、杉の古木が多く、平塚市保全樹林にも指定されています。
 
⑥八幡山公園
広い園内には八幡山の洋館、平塚八幡宮の森と四季折々の花木が楽しめ、中心市街地のオアシスとなっています。
 
⑦湘南潮来
相模川下流の広々とした水郷地帯。 マリンスポーツや川釣りなどを楽しむ人々で賑わいます。
  
⑧平塚砂丘の夕映え
砂丘と松林が続く自然のままの海岸。 伊豆大島の眺望や雄大な箱根連山に沈む夕日に映し出された海岸の美しさは絶品です。
 金目観音堂は、坂東七番札所として有名です。 本尊は平安時代の作と云われる聖観世音菩薩像です。 前を流れる金目川の堤は、春になると満開の桜でいっぱいになります。 また、土手から望む高麗山の春景色と水神橋から望む丹沢、大山の夕景は、一幅の絵のようです。

坂東七番札所 金目山光明寺

坂東七番札所 金目山光明寺

観音堂山門

観音堂山門

観音堂本殿

観音堂拝殿

観音堂菩薩

観音堂拝殿模様

山門と鐘楼

現在では天然物の鮎が遡上するポイントとして知られる金目川。 18年前より環境保全活動を行う金目川水系流域ネットワークの柳川三郎代表は「相模川や多摩川と異なり、金目川の鮎は天然物。湧水が多く、夏でも生きられる」と話す。
1960年代、工業排水や下水により水質が悪化。 しかし2000年代になると下水道の整備や、市民の環境保護の意識が高まり、清流に住むと云われる鮎が増えた。 釣りに来た70代男性は「20年ほど前から毎年来ている。 家で天ぷらにして食べるのが美味しい」と顔をほころばせた。
鮎は11月に産卵が終わり、卵がふ化すると2週間ほどで海へ下る。 海と川の温度が一緒になる春頃に川へ遡上。 育つ適温は25~26℃で、石につくコケを食べる。 産卵する頃の鮎は22センチ前後まで成長する。 (タウンニュース記事より抜粋 2020春)

金目川の流れ

金目川と観音堂

 本市最西端、標高182mの七国峠は、昔、甲斐・駿河・伊豆・相模・安房・上総・武蔵の七国が一望できたことからその名が付けられたといいます。 現在もここから素晴らしい景観が楽しめます。
また、遠藤原では雄大な山並みの姿や季節の花がハイカーを迎えます。

日枝神社鳥居

日枝神社境内

古戦場跡の碑

遠藤原から眺める富士

遠藤原の立看・説明

平塚八景・遠藤原の石碑

七国峠石碑・東屋

七国峠立看・説明

供養の松

  七国峠 (古史より)
 土屋惣領分の処にある。 西は中井町、南は二宮町の方に接している分岐点である。 土地の人はここを高見台(たかんど)と呼ぶ。 昔土屋三郎はここに物見をおき、領内の守りにあたったと云われる。 変わったことがあればここで「のろし」を焚いて知らせるようにしていたものと思われる。
 中井の方は中村氏の所領であり、二宮の方は二宮四郎の所領で、共に土屋氏の一族であり、ここでのろしをあげると各氏に連絡も出来たものと思われる。
またここには長兵衛茶屋のあとがある。 この茶屋は六所神社の国府の祭、吾妻神社・酒匂神社等の祭典の時は特に賑わったと云われている。
 小田原北条時代の1502年に建立された曹洞宗の名刹「松岩寺」は、由緒ある寺として平塚八景に選ばれています。 樹齢二百年を超す桜の大木のある高台の墓所からは、近景に段々畑、中景に平塚市街や湘南平、そして遠景に相模湾に浮かぶ江の島と云う、一枚の美しい絵のような絶景が望めます。
後述、「霧降りの滝」も平塚八景の一つです。 近場で2つの八景が見れると云う恵まれた環境にあります。

県道63号 相模原大磯線の
松岩寺バス停近くにある
松岩寺・霧降りの滝 道標

松岩寺へ続く長い階段
(百10数ステップ?)

平塚八景の地、松岩寺の山門

平塚八景の地 松岩寺

松岩寺の本堂

松岩寺の由来
1502年創建・曹洞宗の名刹

  霧降りの滝  ~水に親しむ天然アスレチック~
 ”魔王の滝” とも呼ばれる平塚市を代表する観光スポットで、一枚岩を清流が静かに流れ落ち、心地良い水の音が辺りを包みます。 普段は静かなこの滝も大雨が降った翌日などは様相を変え、勢いよく流れ落ちる圧巻の姿が楽しめます。

松岩寺の高台から眺める
平塚市街・湘南の海

水量豊富な時の滝の景観

冬枯れ時の霧降りの滝
(安山岩礫からなる一枚岩)

清涼感が味わえる広場

平塚八景の地 霧降りの滝

水量の多い時はまるで霧のように
流れ散る様、から命名

  立石(たていし)  大昔の火山のなごり!?
 立石が在る鷹取山地域は詳細な地質調査の結果、鷹取山付近に古い2つの火山帯があることが判りました。 それは安山岩および玄武岩の火山で、溶岩や溶岩角礫岩(ハイアロクラスタイト)が谷戸川沿いに露出しています。
日本武尊が腰掛けたとされる立石の巨岩は玄武岩火山の溶岩、霧降りの滝付近は安山岩火山の溶岩です。 現在では火山は箱根火山以東にはありませんが、500万年前頃には、平塚・大磯町境には2つの火山が存在したのです。
 
 立石には、二つの伝説があり、その一つは日本武尊 (やまとたけるのみこと)が東征の折、やまづたいにここまで来られ、この石に腰掛けてしばし休息をされて、付近一帯を眺められたと云う。 もう一つの伝説は、この石を七回半廻ると、どこからか大蛇が出てくると伝えられた、昔から不思議な石である。

古来の営みが息づく里道
ゆるぎの丘 散策路

日之宮神社と立石の案内

日本武尊が東征の折、休息のため
座ったと云われる巨岩

火口から噴出した玄武岩質
の溶岩

底部3.3m、高さ3.5m程の
座像を思わせる自然石

二つの伝説を秘めた
昔からの不思議な石

<出展>
立石の掲載情報は、下記資料を参考とさせて頂きました。
  後世に残したい 相模川流域の地球遺産 ー相模川をジオパークにー
    発行 平塚博物館 2015年 1200部発行 平塚市浅間町12-41
    印刷 株式会社アクロス 平塚市見附町32-18